2011年10月12日水曜日

妊婦とインフルエンザ予防接種

これから妊婦になりそうな人、今妊婦の人がこの時期頭を悩ませそうなのがインフルエンザ予防接種を受けるかどうか。

通常インフルエンザは「新型」と「季節型」に分けて語られます。厚生労働省のHPの定義でいうと、
「新型」は「これまで人の世界で流行を起こしたことのないウイルスが、トリの世界やブタの世界から人の世界に入って、ヒトからヒトへ感染できるようになったものです。このため、新型インフルエンザは、毎年流行をくりかえす季節性インフルエンザと抗原性が大きく異なり、一般の方の多くが免疫をもっていないため、感染が拡大しやすく、私たちの健康や社会生活に大きな影響をあたえる可能性があります。」
「季節型」はこれまでに流行したことのあるもの、ということのようです。
ちなみに去年(2010年)の冬まで「新型」といわれていた「A/H1N1」型のウィルスは2011年4月から「季節型」に分類されるようになりました。(厚生労働省 インフルエンザ情報


さて、アメリカでは予防接種の考え方はどうなのかと調べてみると、やはり妊婦はインフルエンザの予防接種を受けるべき、とする意見と、受けないほうが良い、という意見の両方があります。


<「妊婦は予防接種を受けるべき」とする意見の論点>
  1. 重症化しやすい
    妊娠中は免疫が低下するため、インフルエンザにかかりやすく、重症・合併症を引き起こしやすい
  2. ワクチンは母体・胎児に影響がない
    インフルエンザ予防接種は不活化ワクチン(死んだウィルスを使用)であり、直接母体・胎児に悪影響がでるという報告はない
  3. 子供にも免疫がつく
    むしろ母親が妊娠中にワクチンを打つと新生児もインフルエンザに対して免疫を持つようになるという研究がある。
アメリカCDCでは喘息持ちの人、糖尿病の人、肺や心臓に疾患のある人、子供、65歳以上の人、妊婦が重症化する恐れがあるのでワクチン接種を推奨されています。
日本では、厚生労働省ではヒトが免疫を持っていなかった新型インフルエンザについて妊婦への予防接種を推奨していました。(参考:2009年の厚生労働省の資料「新型インフルエンザ対策 A/H1N1 妊娠中の人や授乳中の人へ」)


<「妊婦は予防接種を受けないほうが良い」とする意見の論点>
  1. 保存料に水銀が入っているので胎児に影響がある
    ワクチン自体は安全かもしれないが、インフルエンザワクチンには保存料としてThimerasolが使われているものがあり、胎児の脳に影響を及ぼす水銀が含まれている。(Thimerasolは主に複数回分使用できる小瓶に入ったワクチンに使われている) 保存料なしとされる使いきりのワクチンにも微量に水銀が入っているものがある。
  2. 効果が限定的
    ワクチンは限定的な種類のインフルエンザにしか効果がないのでいずれにしろインフルエンザにかかる可能性はある。(今年のワクチンはA H3N2, インフルエンザB、 A H1N1(去年までの新型インフルエンザ)に効くらしい by CDC
  3. 季節性インフルなら元々免疫がある
    季節方インフルエンザについては母体にある程度免疫力があるので、健康に生活して手洗いうがいなど気をつければよい。かかったらタミフルを飲んで治せる(一応タミフルは母体・胎児に影響がないとされているらしい)。
総合して考えると、
  • 妊婦はワクチンを打たず、冬は引きこもって暮らし、インフルエンザにかからないのがベスト。外出の多い家族にはワクチンを打ってもらう。
  • とはいえ引きこもるわけにはいかなかったり新型インフル(母体が抗体を持っていない)が流行していて感染が心配なら、保存料として胎児に影響のあるものが入っていない薬を病院にオーダーしてワクチン摂取し、感染時の重症化リスクを減らすべき。
といったところでしょうか。
一長一短なので悩みますね。人ごみにはほとんど行かないし、今年は新型インフルエンザについてまだ騒がれていないのでとりあえず様子見で注射は打たないと思います・・・。

0 件のコメント:

コメントを投稿