2012年4月29日日曜日

アメリカ市民権・永住権を放棄する人たち

Time WORLDに「Why More U.S. Expatriates Are Turning In Their Passports」(なぜパスポートを返却する在外アメリカ人が増えているのか)という記事があって、興味深かったので紹介します。

2009年第四四半期だけで502人の在外アメリカ人が市民権・永住権を放棄したそうで、これは2008年全体の2倍以上だそうです。
絶対値としては少ないですが、増加してるところが気になります。

なぜ世界一発展している裕福な国の国籍を捨てようと思うのか。
記事によると、その理由は主にアメリカの税金に対する不満とのこと。
アメリカは海外に住んでいる国民に対しても課税しているので、海外在住のアメリカ人は現地とアメリカの両方に課税され、税金を申告する必要があります。このような課税方法をとっているのはアメリカだけ。

そしてアメリカ政府は在外アメリカ人に1万ドル以上の資産がある銀行口座の申告義務も課していて、違反すると厳しい罰金がまっています。
また、アメリカ政府は外国の銀行に対し、アメリカ人の口座についてアメリカの銀行取引や財務上のルールに遵守するよう求めるため、これを嫌がる現地の銀行がアメリカ人に対して口座開設を拒否するケースがあるとか。

こんな状況のため、海外生活が長いアメリカ人の中には現地の国籍を取得し、市民権・永住権を放棄するという選択肢を取る人もいるというわけです。
ここまでが記事の内容。


しかし、アメリカはこうやって逃げようとする人を快く送り出す国ではありません。
市民権と長期間(過去15年のうち8年間)保持していた永住権の放棄にも、アメリカ政府はばっちり税金を課しているんです(2008年から)。特に、お金持ちがそれを放棄する場合、税金がばかにならない金額になりそうです・・・。

Exit Taxと呼ばれていますが、これ、自分が持っている世界全部の資産を時価で売却した場合の利益を想定して課されてしまいます。誰も売るっていってないのに・・・それに税金かけるのか。横暴な。

該当するのは2百万ドル以上持ってる人、5年以内の平均納税額が14.5万ドル以上の人、5年以内に納税義務を果たしたことを証明できない人。前2つの条件から見て”お金持ち”が課税対象といえそうです。
(例外:出生時より2重国籍で過去15年のうち10年以上アメリカに住んでいない人、18歳と半年以下で10年以上アメリカに住んでいない人)

この条件にひっかかった場合、全世界の資産を時価で売り飛ばしたとみなして、そこから最初の62.6万ドルは控除されますが、残りに”所得税”がかかるそうです。
※参考:Exit Tax for US Expatriates (英語の理解が間違ってたら指摘してください…)

国から逃げるような”お金持ち”からは税金をとってしまえ、というのわからないでもないですが、海外に本拠地を置いてビジネスをしている人からみたら、「なんで住んでない国に税金払い続けなきゃいけないわけ」と思うのも当然。収入や資産が増えるほど、現地でもアメリカでも課税が増えていったら、どっちかに絞りたいと思いますよね・・・。

最近は日本でも増税から逃れるため海外へ資産を移したり、permanent travelerを目指す人がいたりと話題になっていますが、今後日本政府も海外への資産流出を抑えるために似たような法律を作らないとも限りませんね。

税金は国の運営に必要なもの。国民の生活のためにどうやって活用されているかが大事だとおもいますが、無駄な組織や仕事のために利用されているケースが見られると、税金を払う気持ちがそがれます。日本もどうなっていくのやら。


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