2012年5月8日火曜日

アメリカ人の肥満は個人任せでは治らない?

記事:Obesity fight must shift from personal blame: U.S. panel

アメリカの医学研究所(IOM: Institute of Medicine)が8日に発表したレポートで、2030年までに4割強のアメリカ人が肥満(BMI30以上)になるという予測が出されました。
今は3割強ですね。インディアナで生活していると、田舎のほうが都会より肥満率が高いように感じます。
※レポート:「Accelerating Progress in Obesity Prevention: Solving the Weight of the Nation」(肥満防止対策の促進:国民の体重問題を解決する)

このレポートに関する記事によると、これまでも肥満防止のために「食べ過ぎず、運動をすること」が言われてきたにも関わらず、アメリカ人の肥満人口は増加の一方。IOMは、肥満対策を個人に任せていても一向に改善しないので、政府の規制や優遇策によりアメリカ人の食事と運動を改善すべきと提言しているようです。

例えば、

  • 砂糖入り飲料に税金をかける
  • 学校では砂糖入り飲料を禁止して、飲料用水が手に入るよう整備する
  • 小中学校で毎日1時間の運動(体育)の時間を設ける
  • ファストフードを含め、レストランに”健康的な”メニューを用意する
  • 人が歩けるよう歩道を整備した街を建設するデベロパーに税を優遇する
  • 肥満でない人の保険料を安くする
など。


歩道の整備については、なるほど~と思うところもあります。
アメリカは家の周りに歩道がないところも多く、住宅街でも50キロ/時以上で車が通るので、散歩できない作りになっています。家と学校の距離が近くても、こういう環境だと徒歩通学も危険。歩く機会は自然に少なくなるでしょうね。たぶんアメリカ人が一番歩くのは、ショッピングモールの中です。

でもやっぱり一番の原因は食生活。
アメリカは太りやすい環境が整っています。
飲食店には甘いジュースばかりで安くて高カロリーなファストフードが豊富。
家でも朝ごはんの定番シリアルは砂糖たっぷりで、サラダには甘いドレッシング。
学校のカフェテリアはピザ・バーガー・ホットドッグ・フライドポテトなどで、意識しない限り野菜やフルーツは選ばれない。生徒のやる気を出すためにお菓子がご褒美に使われる・・・。
これじゃ太るわね。

とはいえ、記事にあるような砂糖入り飲料の増税については、根本対処ではない気がします。多少高額になっても、好きなら飲んでしまうのでは?
飲料からカロリーを取る機会が多いので、そこに対策する、という考えはいいと思います。ファストフードのドリンクサイズが日本に比べて大きいので、砂糖の量も多くなっています。

しかし、対策するなら甘いジュースだけでなく、高カロリーな食べ物と共にもっと食について教育(洗脳?)したほうが良い。体に良くないと知りながら食べてしまうなら、まだ本当にそれを実感していないのだと思います。甘いものは美味しいと感じてしまうけど、飲みすぎると(の基準も必要だけど)不健康街道まっしぐらだと脅しておきたい。

日本人の美容・健康意識が高いのは、学校(給食も)と健康食品関連企業とテレビによる教育/洗脳の成果です。
ところが、アメリカでは人を肥満にさせる企業が「おいしいよ、いっぱい食べて/飲んで!」と洗脳してしまっているので、そっちの方向に影響されてしまっています。そこを抑えようとすると企業から反対運動が起きて何も変わらないので、逆にそういった企業が一斉に健康志向に方向転換してくれれば大きな違いが生まれそうです。マックの肉の脂の量を減らすとか、フライの油を健康なものにするとか、いや、フライじゃなくベイクドポテトだけにしちゃうとか、飲み物メニューに麦茶を加えるとか・・・価格には反映されてしまいそうですけれど。


私は、とりあえずアイスクリーム企業の誘惑に負けないようにしなくては。

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