1.アメリカでは体外受精(IVF)にいくらかかるのか?
参考記事:「How much does IVF cost?」
アメリカでの基本的なIVFの費用はどの州でもだいたい同じだそうです。
まず1サイクル(生理が来てから受精卵の移植まで)あたりの参考費用はこのようになっています。
この場合は受精させるのに卵子に精子を振りかけるのですが、確実に受精させるために選んだ精子を直接卵子に注射する顕微授精(ICSI)を医師が採用する場合があります。これをやると1,000ドル~1,500ドル追加になります(図中②)。
子宮に戻す以外に受精卵が残っていれば、凍結して将来の体外受精のためにとっておくこともできます。この場合凍結に数百ドルかかります(私の医療機関では600ドルでした)(図中③)。
一度受精卵を凍結できれば、それを使った体外受精費用(基本料金)はぐんと安くなり、1サイクル3,000ドル程度でできるようです(図中①-b)。
日本では妊娠の確率が高いと思われる年齢だと1つしか受精卵を子宮に戻さないようですね。しかしアメリカでは2つ子宮に戻してくれます。双子ができたらちょっとお得感があります。ただし、双子だと早産・低体重の確率が上がるので単純に「いいことだ」とは言えませんね。
推測ですが、アメリカでは体外受精費用が高額なことと、双子までなら妊婦・胎児への危険性が低いと思われているから2つ戻すのではないでしょうか。
日本では妊娠の確率が高いと思われる年齢だと1つしか受精卵を子宮に戻さないようですね。しかしアメリカでは2つ子宮に戻してくれます。双子ができたらちょっとお得感があります。ただし、双子だと早産・低体重の確率が上がるので単純に「いいことだ」とは言えませんね。
推測ですが、アメリカでは体外受精費用が高額なことと、双子までなら妊婦・胎児への危険性が低いと思われているから2つ戻すのではないでしょうか。
2.複数回試せるセットプラン
1サイクルの費用は上記の通りで、妊娠に失敗しても返金はありません。
ところが、このあと説明する通り、必ずしも1回の体外受精で子供ができるとは限りません。
そこで、複数回の体外受精をセットにした支払いプログラムを採用しているクリニックもあります。
また、このようなプログラムには失敗した時に一部返金してくれるものもあります。
私が利用したのはAttainIVFという支払いプログラムで、複数回セットのプランは2パターンありました。
プラン | 費用 | トライ回数 | 返金 |
---|---|---|---|
プラン1 | $18,000 | 卵子採取2回 凍結胚2回 | 返金なし |
プラン2 | $24,000 | 卵子採取3回 凍結胚3回 | 妊娠に至らなければ7割返金 |
- 1つは2回の卵子採取による体外受精と2回の凍結胚による体外受精の最大4サイクルまで受けられるが、返金なしというプラン。受精卵の状態が悪く凍結できない場合はその回の凍結胚の体外受精はなくなります(つまり最悪の場合2回しか出来ない)。
- もう一つは3回の卵子採取による体外受精と3回の凍結胚による体外受精の最大6サイクルまで受けられるというプラン。こちらも凍結胚が無ければ回数は減ります(最悪3回になる)。全て失敗するか途中で中止すると7割返金されます。
私は悩んだ末トライできる回数の多い2つ目のプランを選択しました。結果は1回目の体外受精が失敗、胚も凍結できず、という状態で2回目の体外受精を行い、そこで妊娠しました。
結果としては1つ目のプランで十分だったのですが、まあそこは保険なのでしょうがないです。
卵は2回とも10個以上採取できたのに、凍結できる受精卵が残らなかったのが意外でした。凍結できないとトライできるのは3回だけなので少しあせりました。
こういったプランの注意すべき点として「成功」がどう定義されているかがあります。「妊娠」を成功とみなす場合、その後流産すると返金もなく次のIVFサイクルも使えなくなります。
また、利用する医療機関の体外受精成功率も確認すると良いと思います。
3.体外受精で妊娠する確率
体外受精の妊娠の確率は、年齢と採取できる卵の数によります。
「Number of eggs retrieved and IVF success rates according to female age」によると、35歳以下の場合、採取した卵と出生率はこうなっています。
- 1-2個:16%
- 3-6個:38%
- 7-10個:56%
- 10個以上:65%
年齢が上がるほど、この確率は下がります。
また、AttainIVFのホームページによると、35歳以下の女性の6割、35-37歳の女性の7割が2サイクル以上の体外受精により妊娠するとしています。
4.アメリカの体外受精に保険はきくのか
参考記事:「State Infertility Insurance Laws Mandating Coverage」によると、15の州では州法により保険会社に何らかの不妊治療に関する義務があるが、そのような義務がない州では保険会社が不妊治療をカバーすることはほとんどないとあります。ただし、企業の本社がそういった義務のある州にある場合、他の州にある組織も同じ保険条件が適用されるようです。
私が住んでいるインディアナ州には義務がなく、夫の会社も本社がここで、私が加入している保険会社は「不妊治療はカバーしません」と明記してありました。
義務の内容は州によって異なり、不妊治療のどこまでをどういった条件でカバーするのかは様々。
ご自分の保険でどこまでカバーされているのかは直接保険会社に問い合わせて確認したほうがよいです。または、利用する医療機関でどこまでカバーされるのか聞けば教えてくれるはずです。
不妊治療について保険会社に対し何らかの義務を規定している州:
- アーカンソー
- カリフォルニア
- コネチカット
- ハワイ
- イリノイ
- ルイジアナ
- メリーランド
- マサチューセッツ
- モンタナ
- ニュージャージー
- ニューヨーク
- オハイオ
- ロードアイランド
- テキサス
- ウェストバージニア
5.日本での体外受精の費用
日本の体外受精の費用は1サイクル40万円程度ですので、アメリカの半分以下です。
さらに自治体が補助金を出していることがあります。「体外受精 ○○市」なんかで検索すればすぐでてきますね。
ただ、複数回セットで全部失敗したら返金・・・みたいな支払い方法はないのかも?
日本での体外受精成功率は1サイクル2割くらい(生殖補助医療(assisted reproductive technology: ART)の実際)らしいので、多くの人が妊娠するまで複数回トライしないといけないですよね。
それでもアメリカに比べれば1サイクルが安いので、総合的にもかかる費用が少なくすみそうです。
アメリカに住んでいる日本の方の場合、日本に戻って体外受精となると難点がありますが、対処できないことはなさそうです。
- 1サイクルあたり航空運往復賃2人分かかる
→仕事の調整ができれば安い時期に渡航することができそうです - 女性はサイクル開始から妊娠検査まで日本滞在費用がかかる
→実家や親類などがあれば滞在費用は少なくなります - 補助を受けたければ少なくとも女性は一時的に日本に住民票を移さないといけない
→市役所での手続きは難しくはないと思います - 男性は仕事を調整して女性の卵子採取タイミングで精子提供のため確実に日本に戻らなければならない
→予め日本で精子の冷凍保存をすれば解決できます
個人の状況にもよりますが、やろうと思えば日本に戻ってできそうですね。
日本とアメリカどちらが安上がりかはご自分の状況にあわせて算出してみないとなんとも言えません。
日本とアメリカどちらが安上がりかはご自分の状況にあわせて算出してみないとなんとも言えません。
妊娠してからも、日本に住んでいれば自治体の補助で検診を受けたりできるので、実は子供を生む環境としては日本はアメリカより費用面で恵まれています。少子化なだけあり、いろいろ優遇されていますので。
皆さんの状況に応じてベストな選択ができますように。
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