私は医者ではありませんので、情報の正確さについては責任を負いかねます。あくまで参考に。
「妊娠・不妊治療に関連する英単語」も参考にどうぞ。
はじめに、1回目のIVFを経験した上でのアドバイスですが、
- 丁寧に説明してくれる医師、実績のある病院を探すこと
- 車1台買えるくらいの金額がかかるので、どう資金調達するか検討して不安要素を取り除くこと。特に、クレジットカードで薬や診察料を支払う場合、アメリカのクレジットカードの上限金額が低いとすぐ使えなくなってしまうので注意。日本のカードも使えますが、予めカード会社に言っておかないと不正利用と誤認されることもありそうです。
- パートナーも含め全体の処置内容を理解し、リスクについて話し合い、納得しておくこと
それからダンナ様達へのお願い。
体外受精(IVF)は半月あまり注射や薬の投与、頻繁な病院通いを行わなければならないため、女性に身体的・精神的に負担がかかります。特に黄体ホルモンを摂取しているときはイライラ・憂鬱・不安な気分になりやすい。一緒にIVFをやっているんだということを示して、奥様の不安を取り除いてあげてください。間違っても口論したり責めたりしないで。卵の摘出・移植手術後は奥様はほとんど動けませんので、仕事が忙しいかもしれないけど家事の手伝いをお願いします。
妊娠・出産に関する英語や知識を得るため、書籍を購入して読むのもよいとおもいます。私はアメリカで医師と会話できるように、英語でこの分野のことに触れておこうと思って読みました。左の本は月ごとに妊婦の状態、胎児の状態、健康に関する注意などが載っており、とてもわかりやすかったです。
さて、ここから体外受精(IVF)のプロセスについて詳しく書いてみます。
<1.お医者さん探し>
日本で産婦人科にかかっていたのですが、アメリカに引っ越すことになったためこちらでIVFを扱うお医者様を探しました。私がお世話になったのはMidwest Fertility(Carmel, Indiana)。アメリカ人の知人がここで2人のお子さんを授かったのと、お医者様の対応が良かったという評判を聞いて調べてみました。ウェブにも情報があり、参考になります。
ウェブに掲載されていた連絡先に電話して、アポイントを取りました。このクリニックはドクターが3名いますので、希望があるか聞かれましたが一番早くアポをとれる方をお願いしました。
(アポ時の英会話:"Hello. I'm a new patient and I'd like to make an appointment for consultation.")
<2.問診アンケートを返送>
アポイントを取ると、クリニックから病院の説明、IVFの説明とアンケートが送られてきました。この辺はクリニックにより対応が違うと思います。アンケートは今までの病歴、検査の結果、妊娠履歴などを回答して返送。さすがに病名や検査名の英語は分からなかったので辞書を片手に調べて答えました。
アンケートがない場合も、ドクターにこれまでの治療履歴・2人の病歴などを話せるように準備していったほうが良いと思われます。
<3.ドクターと面接>
夫と二人でドキドキの初病院デビュー。
予約を伝え、きれいな待合室でしばし待機。病院ぽくなく、小さなホテルのロビーみたい。儲かってそうだなぁ。
そのうちナースに呼ばれて、ドクターの部屋に通されます。病院というより、エグゼクティブのオフィスといった感じ。ドクターも大変親切で優しい印象でした。これまで妊娠をトライしてきた経緯を話し、IVFが必要かどうか、やるとしたらどういうプロセスで行うのかなど相談しました。IVFの前に血液検査や子宮・卵巣の超音波検査などが必要とのことで、その予約を入れて帰りました。
このクリニックはお医者様も看護婦さんたちも対応が丁寧で、患者さんの不安を取り除くためにちゃんと処置や薬について説明してくれました。
IVFは簡単にいうと人工的にホルモン注射で卵を成長させ、取り出して受精させ、子宮に戻す、という処置です。もうちょっと具体的にプロセスを説明すると、
(1) 勝手に(自然に)卵が成長・排卵しないようコントロールするために注射を打ち続ける
(2) 生理後、通常1つしか成熟しない卵胞(卵子を包む袋)を10個程度人工的に作るために別の注射を打つ
(3) 10日程度経過後、卵を手術で摘出。同日、精液の採取も行う
(4) ラボで卵子を受精させ、3-5日培養し、ちゃんと成長しそうな受精卵を選ぶ
スグにお腹に戻さない受精卵は冷凍保存
(5) 受精卵を子宮に戻す
(6) 着床して育つかどうか経過観察
<4.事前検査>
まずは女性と男性の体の状態を確認するため、病気・ホルモンの血液検査、精液検査、子宮・卵巣の超音波検査を生理のタイミングにより2回に分けて行います。この辺は日本の産婦人科の検査と似た流れですね。
気になる診察の様子ですが、日本の産婦人科はカーテンで医師と患者が仕切られた部屋で診察を行いますよね。アメリカはカーテンはありません(少なくとも私のクリニックは)。部屋に通されたら下半身全部服を脱いで、渡されたシーツを巻いて診察台に上がって医師が来るのを待ちます。このあたりは看護師がちゃんと指示してくれるはず。日本と同様、医師は看護師を同伴して診察しなければならないようです。
私は初めての診察の時はカーテンがないのが気になってちょっと緊張しましたが、他の部位の診察と変わらないと思えば平気。日本でも痔の診察はカーテンないし。
<5.処置プランの決定と支払い>
検査の結果を受けて、体外授精を行う際にICSI(Intracytoplasmic sperm injection: 精子を直接卵子に注入する処置)が必要かどうかをドクターが判断。必要でなければ精液を卵子にかけるだけなので、その分費用は安くなります。
費用ですが、保険でinfertilityがカバーされているかどうか確認します。州によっては保険会社に不妊治療・診断をカバーするよう義務付けているところもありますのでチェックしましょう。私の保険ではカバーされていないのですが、IVFのための支払いプログラムがあり、そこと契約して支払いを行いました。
このクリニックが使っているプログラムはAttainIVFで、主に2種類の契約があります。
(1)Multi-cycle Program:最大4回の処置(2回のIVFと冷凍受精卵で2回)が受けられるが、全て失敗しても返金なし、というタイプ。
(2)Refund Program:最大6回の処置(3回のIVFと冷凍受精卵で3回)が受けられ、全て失敗した場合(または途中でやめた場合)に7割の治療費を返金してくれる、というタイプ。
前者は平均18,000ドル、後者は平均24,000ドルで、年齢やICSIの有無により金額が変わります。
高額ですね。一度に支払えない場合はローンのプログラムもあるようですが、クレジットヒストリーがない状態でローンを受けてもらえるかちょっと分かりません。
私たちはまだ米国に来たばかりでドルの資産が足りなかったので、日本から送金(international wire transfer)してもらいました。こんな時のために事前に自分の日本の口座からネットバンキングで送金できるよう登録しておくと便利です。三井住友から地元の銀行に2営業日で入金しました。
1回単発の費用は10,000ドル程度らしいのですが、上記のように複数回をセットにするプログラムを使う理由は、IVFの初回成功率が4割だから。複数回繰り返すと7割程度まで成功率が上がりますが、それでも妊娠できない確率が3割。でも子供が欲しかったら、トライしたいですよね。
<6.薬の手配>
上記のIVFの費用、実は薬代が含まれません。クリニックから薬局に直接処方箋を出してもらい、支払いは薬局に対して行います。
薬代は人により2,000~3,000ドル程度かかるようです。薬局にもIVFのためのプログラムがあり、会員になると割引を受けることができます(参考:Walgreens New Life Agency)。そして薬は宅配で送られてきました。薬の宅配ってアメリカっぽい・・・。
<続きは「アメリカでの体外受精プロセス (2)」で>
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4 件のコメント:
初めまして こんにちは
当方、オハイオ州シンシナティ近郊に住んでいる駐在員の妻で「makitodo」と言います
私も、アメリカにて不妊治療をしよう!と決意しまして、
(アメリカに赴任する前、日本で半年ほど治療には通っていました)
ちょうど昨日、初診が終わったところなのですが、写真入りで非常に分かりやすく詳しくIVFのことを書いて下さっているこのブログ、とても参考になりました ありがとうございます
感謝の気持ちと、お互いの駐在地がそんなに遠くないのでは・・・?と思ったのと、私と名前が似ていることから、勝手に親近感が沸いてしまい、コメントさせて頂きました
makitodoさん メッセージありがとうございます!私も初めてIVFをやると決めたときは、いったいどういうプロセスなんだろうと不安でした。特に知りたかったのは費用!なのでできるだけ詳しく紹介した次第です。やくにたってよかった:)
2回目の体外受精が成功していま妊娠23週です。makiさんもうまくいくといいですね!
こんにちは。初めまして、ちゆきです。
テキサス州在住の駐在員妻です。
ただただお礼を伝えたくて、コメントしています。
私はアメリカで不妊治療を始め、いろんな検査を終えたところです。今は人工授精と体外受精どちらから始めるか悩んでいるところです。お医者さんの英語が100%は理解できないので、Mikiさんのブログがとても分かりやすく、ためになっています。今後も体外受精を始める際には、お手本として読ませて頂きます。このようなブログを残して頂き、本当にありがとうございました。
ちゆきさん
最近ブログチェックしてなくて、すぐ返信できなくてごめんなさい。
参考になって幸いです。クリニックによって違いはあるかもしれませんが、一例として様子を知るだけでも不安は取り除けるかなと思い、体外受精の経験を書いてみました。
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