2011年6月27日月曜日

アメリカも困っている放射性廃棄物のゴミ捨て場

3月の地震以来、原子力発電所に関する議論や話題が色々記事として出ています。
今回の震災で、日本には使用済核燃料を廃棄する場所がなく、発電所の冷却プールで保管してしのいでいると多くの人が認識するようになりました。
一度使われた燃料は再処理工場を経てまた燃料として使われるのですが、それでも放射線を帯びたゴミは出ます。そしてゴミ捨て場がないのにゴミを生み出している状態が続いており、「そのうちどっかに埋められるだろう」という当てのない期待で運用が継続されてきたわけですね・・・。

ふと、アメリカってどうしてるんだろう、と気になったのでアメリカの原発(nuclear reactor)について調べてみました。

まずは、アメリカの原発の場所と運転年数はこちら。(U.S.NRCより)
アメリカには104の原発があり、ほとんどは中央より東側にあります。そして青で記されている30-39年のものが半数あります。





使用済核燃料(spent nuclear fuel)についても調べてみたところ、日本と同じく廃棄処分できずに原発のプールに保管しています。どうやら71,862トンもの核燃料が廃棄できずに保管されているらしく、原発での保管容量も2015年にはいっぱいになってしまうとのこと。
これから数年でどうにかして廃棄する場所を探さないといけない状態です。

The U.S. has 71,862 tons of the waste, according to state-by-state numbers obtained by The Associated Press. But the nation has no place to permanently store the material, which stays dangerous for tens of thousands of years.
U.S. storage sites overfilled with spent nuclear fuel 3/22/2011 MSNBC.com

2002年に議会でネバダ州のYukka Mountain(ラスベガスの北西130km)の地下に使用済核燃料と高レベル放射性廃棄物の処理場の建設にGOが出たものの、2011年4月の連邦予算で結局却下されています。ちなみにアメリカ政府の核実験や核兵器の研究で発生したゴミはニューメキシコ州のWIPPという場所に地中深く廃棄されています。

燃料は冷却に10年以上かかり、燃料の放射性物質の半減期は数万年からものによっては数百万年とか・・・。どれだけになれば生物に影響のない状態になるのかまでは調べきれず、情報がいっぱいあっても知識不足でわからない。いずれにしろ地球上の生物は今後長期的にこの厄介なゴミと付き合っていかなければならないようです。どこかに埋めたところで、放射性物質が消滅する前に人類が滅んでしまうかも。

アメリカでの核のゴミは年間2,200トンのペースで増加しており、当初想定された処理量の4倍だとか。

州別の核ゴミ保有量TOP5は:
イリノイ州 9,301トン
ペンシルバニア州 6,446トン
サウスカロライナ州 4,290トン
ノースカロライナ州 3,780トン
ニューヨーク州 3,780トン

イリノイってインディアナの西隣ですね・・・何かあったら風で間違いなく放射性物質飛んでくる。

燃料の保管にはプールのほかに、1基$1.5Mもするdry caskというコンクリートや鉄でできた頑丈な容器に入れて空冷する方法もあるらしい。プールにいっぱい燃料をいれると温度が上昇しやすく、水の管理が大変なのでdry cask方式に乗り換えているところも多いとか。でも結局は冷えたら最終処分場に埋めなくてはならない。

原発や核を持つ諸外国でも廃棄施設が完成しているところは今のところなく、場所の検討中か建設中(フィンランド Olkiluoto, 通称Onkalo(洞窟))だそうです。

1993年に核廃棄物の海洋投棄が禁止されるまで、各国は海や湖に捨ててたんだから、それから漏れ出しててもおかしくない・・・。
今月17日にはAP通信が全米75%の原発で地下水に放射性物質tritiumがもれ出ていると報道。老朽化したパイプから水が漏れているとのこと。ほとんどのケースでは施設内での汚染に留まっているものの、一部の施設では近くの住民の井戸水に基準値を超える量の放射性物質が入ってしまったようです。安全性については政府の見解と専門家の見解が分かれているのでよくわかりませんが・・・。下の動画のGunter氏は、施設の管理は後手後手。今日明日に人に健康被害がでるわけではないとしても、慢性的に放射性物質の入った水を摂取すると癌のリスクが増加するといっています。また、これらの施設にある地中の緊急時冷却用水のパイプも老朽化してうまく機能しないんじゃないか、という意見もあるそうです。

この状況を見ると、アメリカも災害やテロに対して原発施設におけるリスクが結構高いんだなと再認識させられます。

関連記事:75 percent of nuke sites have leaked tritium

0 件のコメント: