2011年7月4日月曜日

福島第一の原発事故について調べて考えさせられたこと

日本に一時帰国して暇もあるし心配もあったので原発事故についていろいろ記事を読んでみました。
今のところネットをウロウロして得た情報としては、
  1. 3月11日の福島第一の原子力発電所の事故後数日間で大量の放射性物質が撒き散らされたため、周辺だけでなく日本全国に量に差はあれど放射性物質が飛散した。未だに関東地方でも年間被曝量が1ミリシーベルト(元の基準値)を超える線量を記録する場所がある。
  2. 原発周辺で対応にあったっている作業員は放射線に対して適切な防護ができない環境下で働いている。(γ線と中性子線は防護服で防げない。作業員の長時間労働、就寝環境が悪いなど。)
  3. 原発事故で放射性物質が蓄積されている福島県の地域から瓦礫が移動されて汚染が広まった。(7/13追記 千葉で基準値超えの焼却灰から放射性物質検出
  4. 政府や報道機関は事故原因、対処、健康リスクについて正確な情報を流せなかった、また誤った情報を流しても訂正がちゃんとされていない。また、3ヶ月経った今、テレビ上では原子力発電やエネルギーと経済の関係などについて議論や報道が積極的にされるわけでもなく、お笑いやバラエティなどお気楽番組が復活している。ネット以外では原発関連の話題の情報源といったら新聞・雑誌くらい。ニュースでも深刻な原発の対応状況を淡々と手短に説明して終わり。
  5. 食物への放射線の影響度の把握ができているか不明な状況で「風評被害」という言葉だけが横行。一般消費者として本当に風評被害なのか実害があるのか判断できない。
    (7/13追記 南相馬市の農家が出荷したセシウム汚染牛が12都道府県に流通、一部消費される)
  6. 海洋の放射能汚染のデータがあまりないので海産物への影響がよくわからない。
    元々海洋汚染が考慮漏れで基準値もなかった。また、ヨウ素とセシウムは計測するようになったがストロンチウムとプルトニウムは測っていない。
  7. 医者や研究者など”専門家”であってもどの程度の放射線がどの程度の癌のリスクになるのか正確に把握していない(説がバラバラ)。年間1ミリシーベルト(国際基準)から20ミリシーベルトに上限が上がったが、内部被爆と外部からの被爆、それぞれ実際どれだけ自分に影響しているのか人が知る術が不足。学校の校庭の基準値は内部被爆を考慮していないとも。
  8. そもそも原発で発生する核廃棄物の処理場はまだ決まっておらず、核のゴミが各原発で保管されている状態。もんじゅがまともに稼動できていないので燃料再利用もイマイチ。

今回の事故後の報道を見ていて思ったことは3つ。
1.各メディアが報道する情報を体系的に頭の中でまとめたり、情報の信頼性を見極めるのが、放射性物質という専門的な内容に関しては難しく、情報格差を生んでいるいということ。
2.専門家の中でも飛散した放射性物質の状態や放射線の人体への影響について意見が分かれるため、最終的にどこに行き、何を食べるかは個人で判断するしかないということ。
3.原子力は一度暴走すると人がコントロールできず、多くの人の生命を脅かす難しいエネルギー源だということ。


 情報の信頼性の判断は難しい。
情報の信頼性に関しては、放射性物質の飛散状況・食物への影響度など、政府の機材・マンパワー不足と政府のリーダーシップの欠如のせいか、正確な情報がわかりにくい状況です。細かいデータは報道機関や民間人が各自のガイガーカウンターで計測した情報をネットで知ることができる程度。ネットで情報が取れるだけましな世の中になったといったほうがいいのかもしれません。しかし、ネット上の情報は正確かどうかの判断が難しい。どの放射性物質をどの状態で測定したか記載がなかったり、伝聞情報がさらに拡散されてしまい、正しいデータなのか判断しにくかったり。
また、ネットで情報を検索する環境や能力がある人はまだいいとしても、一般メディアで流れない情報も多いから情報格差が拡大します。
特に影響を受けている福島の人は、いかに状況が悪くても事実を知り自主的な避難や被曝回避措置をとるチャンスがほしいはず。メディアには社会の目となり耳となるという報道機関の役目があります。それを放棄して芸人を出した番組で適当に電波と時間の食いつぶしをしないでほしい。


 結局どう対処するかは自己判断。
いろいろ記事を読んでみて、誰もが正しい答えを持っていないのかも、と考えるようになりました。
長期的に基準値以上で低レベルの放射線にさらされた人がどれだけ癌になったか、過去事例がなさすぎて誰も明確に答えられないのではと思われます。むしろ、今回の事故のデータを日本を含め各国が重要な事例として研究することになるのでは。
そうなると自分や家族の健康は最終的に自分で守るしかありません。癌になってから「政府が安全ていったから」といっても状況は好転しないし、健康被害を受けた人が大勢いたら金銭的な保証さえ危うい。

そもそもこういうケースの政府の約束なんて無意味。災害の大きさを人が予見して、その影響を完全に把握し対応することが不可能なことは3月11日に実証されてしまいました。何をどう保証して、それが予想に反した場合どうしてくれるんだろう。金銭的な賠償にしても電力会社にお金が足りなくなって国が補助するんじゃ国民に保証のつけを回してるのと同じ。原発事故の責任を負うにはどんな政府も力不足。日本の原発の指針では「想定外のことがおきたら原発が壊れて放射能が出て住民が著しく被爆してもしょうがない」となっているそうなので、今後も「想定外」という印籠で政府は逃げることができます。政府も人でできているのにこんな判断をしてしまうのね。

結局、自分で情報を探しに行って、判断して、風評被害だといわれようが危ないと思ったものは食べず、危ないと思う地域には出かけず、政府がいきなり上限をあげて安全だという放射線レベルを信用せず、生活するしかないという結論に達します。
食物を提供する側は、「風評被害」と言わず自分の提供する商品の放射線量を測定して表示していただきたい。東北や関東の食物に放射性物質が付着したのは周知の事実。だけど消費者にはどの地域がどの程度被害を受けたかなんてわかりません。生産者は放射能が問題ない量かどうか消費者が判断できる情報を提供するしかありません。そうでなければ買ってもらえないのは仕方のないこと。そして買ってもらえない原因を作った東電と政府に文句を言うべきです。消費者ではなくて。


 エネルギーか命か。
原発の安全性に関して、静岡県民としては断層の上に立っている浜岡原発の停止は大歓迎ですが、運転中止していても燃料棒は存在しているので、こちらも地震の少ない内陸の地域に引越ししてもらいたい・・・。冷却に10年以上かかるといわれているのだから、浜岡に置いておいたら災害で冷却装置が故障したらまた事故になってしまう。浜岡で事故になったら関東含め周辺県民にも被害が及ぶので、燃料棒受け入れ拒否はできないはず。
エネルギー生産を止めると経済に影響があるといっても、日本は国土が狭くどこにいても放射能の影響を受けやすい。時限爆弾に頼ってエネルギーを得る=命のリスクを侵して生活するということ。そこまでしたい?私の優先順位は命>お金です。自動車業界にいる立場としては、長期のエネルギー不足で日本の生産を減らさざるを得ないとは思いますが、震災前でもいずれ製造業頼りの経済は変化せざるを得ないと言われていたのだから、今変化を受け入れて産業構造をシフトさせる機会ととらえればよいのでは。といってもそう誘導する力は今の政府にはないけれど。


久しぶりに日本に帰ってきて(東海地方)、メディアを見る限り震災や原発事故の深刻さがさっぱり忘れられてしまったような印象をうけ、ショックで色々調べてしまいました・・・。次回帰国するときはガイガーカウンター持ってこようかな・・・。

参考ブログなど:
武田邦彦中部大学教授のブログ
原発・放射能の影響について信頼できる解説記事まとめ
放射能汚染の分かるマップをまとめ
tacchyの本音ブログ
玄海原発の全電源喪失の想定訓練が、まるでコント。酷すぎる。
他にも色々サイトを見ましたがメモってません。
各情報の正確さについての判断は各自でお願いします。

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