2012年12月23日日曜日

銃犯罪から身を守れるのは銃・・・!?

アメリカに住んで驚いたことの1つに銃購入の容易さがあります。
初めて訪れたスポーツ用品のチェーン店で、ショーケースいっぱいの銃(猟銃・拳銃)が数万円程度販売されているのを見て、こわいな、と感じたのを覚えています。
日本で拳銃にお目にかかることはまずないですもんね。

先日コネチカット州で起きた小学校の銃乱射事件で、ようやくアメリカの議員も銃規制に再び取り組み始めようとしているようです。

関連記事:
オバマ政権、銃規制に挑む 「悲劇を阻止」 1月に規制強化案、2期目の優先課題に(日経新聞)

6,7歳の子供20人を含む26人が銃で亡くならないと政治家や世論が動けないのが悲しい事実です。自分の子供がこういう事件で死亡したらと思うと心が痛みます。悲しくて立ち直れなくなりそう。

NRA(National Rifle Association:銃を持つ権利を擁護する団体)はこれまでもずっと銃規正法案が出されそうになると反対してきましたが、今回もまた屁理屈をつけて銃規制の意見に反対しています。

NRAの副会長は記者会見でこういいました。
“The only thing that stops a bad guy with a gun is a good guy with a gun,”
「銃を持った悪人を止められるのは、銃を持った善人である。」

そしてNRAは全学校に武装した警備員を配備すればよいと言いました。
悪人を街から排除すれば良いんだ、と言いました。

銃規制を推進する人達は全米のどこであっても銃犯罪が起きない世の中を望んでいるので、学校に武装警備員を配備するというNRA副会長の提案は明らかに今回の事件を含めた銃乱射事件の解決になりません。
悪人を排除するという考えも、不可能です。前科のない人間や精神的に不安定な人間が事件を起こすことがあるのに、そういう人を事前に隔離するなんてできません。

なんで堂々とこんなアホな意見を言えるんだろう。利権で頭がいっぱいで自分を守るために思考が非論理的になっているとしか思えません。認知的不協和の解消でしょうか。

だって・・・

(1)銃乱射は学校だけで起きるわけではない
学校だけに武装警官・警備員を配備しても解決しない。そして公共の場全てに武装警官・警備員を配備するのは不可能。

(2)「銃を持った悪人」の発砲は止められない
「銃を持った善人」は「銃を持った悪人」を事件後早期に殺せるかもしれないが、「銃を持った悪人」が最初に銃を乱射するのを止められるとは限らない(いきなり「普通」に見える人が発砲しだすんだから)

(3)銃だから被害者数と被害度合いが大きい
悪意を持った人間は銃が規制されても何かしらの武器を持って人を襲うだろうが、それが銃でなく刃物なら被害者の数は銃より少ないはず
犯罪を起こすのは銃ではなく人だが、銃のせいで被害が大きくなってしまうのが問題。

護身のために銃を持ちたいという人がいますが、そもそも「銃を持った悪人」に襲われる場面で自分も中を取り出して撃退できる場面てすごく少ないのでは?そして拳銃の保持は簡単にできるが、持ち歩くのには許可が必要な州が多いので、銃乱射が起きる公共の場で銃を持っている人は少ない。もし携帯していたとしても目の前に銃を持った人がいて自分を狙っていたら、かばんから取り出すのは難しい・・・。

また銃乱射事件では自分のではなく親の銃や盗んだ銃を持ち出しているケースがあるので、銃の販売規制だけでなく銃を家においておかない状況にしないと事件はなくならないでしょう。


アメリカは暮らしやすいなあと思うようになりましたが、銃のことだけは大きな心配の1つです。



おまけ:インディアナ州の銃に関する法律

インディアナでは猟銃・ハンドガンの購入に特に許可が必要なく(18歳以下除く)、銃の登録も必要ありません。マガジンの大きさにも規制はありません。ただ、持ち歩くのには許可が必要です。
(参考記事:Gun laws in Indiana (Wikipedia))

2010年には車にロックして隠しておけば職場に銃を持ってきても良いという法律ができたらしいです(学校、デイケア、刑務所、保護施設を除く)。これで企業が従業員に銃を持ち込まないよう指導することができなくなりました。
(参考記事:Take your gun to work? Some are glad it's legal in Indiana now


にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

0 件のコメント: