2011年8月24日水曜日

恐るべしアメリカの小学校の教科書

昨日たまたま友人(日本人)の息子さんの現地の小学校の宿題を手伝う機会がありました。
Scienceの教科書に掲載されている2件の文章問題だったのですが、この内容がすごかった。

1問目:以下の文章を読んで、科学者は自分の定義した問題を解くためにインターネットのブログを参考文献として使用してよいかどうか、説明しなさい。

なんですかこの問題は。常識といえば常識ですが、大学の論文を書く前に教授に指導されるような内容じゃないですか。

文章の内容を要約すると
「科学者は書籍、インターネットやジャーナルに掲載された学術論文など他の複数の科学者が妥当だと判断した情報を参考文献として自分の研究につかうべきであり、出展が不明だったり他の学者が認めていない情報を基にするべきではない。ただし複数の科学者が妥当と判断した研究も、後の新たな発見により覆る可能性がある。」というもの。

これ、小学校5年生に教えて理解できるの??中学生だったら理解して記憶してくれそうだけど。


2問目タイトル:推測と仮説

え、推測と仮説!?それも大学生が研究に当たってよく言われることですよね・・・。社会人になっても問題解決のために仮説を立ててから、という手順を忘れる人多いし・・・。

文章の要約
「問題を定義したら、まず仮説を立てる。仮説とは参考文献や自分の経験と基に結果がどうなるかを考えること。通常 If ... then ... because ... という文で表される。その仮説に向かって実験で確認していく。たとえばこの(写真がある)海洋学者は『海洋汚染が進むとマナティーの生息数が減る、なぜならマナティーが食べる植物が汚染で減少するから』という仮説をたてることができる」

問題:この科学者はほかにどんな仮説を立てることができただろうか、If... then...because...の形式で回答しなさい。

うーん。すごい。こういう授業する先生たちは大変だと思いますが、問題・課題に取り組む基本的な考え方を小学生のうちに教えようとする姿勢にとても共感します。この教科書もって帰って日本の子供にも使いたいな・・・。
このScienceの教科書ですが、厚みが英語の辞書の半分くらいあります。全面カラーで写真がほぼ全ページについており、見た目にも楽しい。授業は時間が限られるので全ページをカバーしているわけではないようなのですが、日本の味気ない教科書に比べて内容も面白い。

私が通った静岡大学教育学部付属浜松小学校・中学校は当時実験的な授業を行っており、理科・社会の授業に実験やフィールド学習が多く取り入れられていました。小学校ではほとんど教科書を使わなかったと思います。
教科書で与えられた道筋や実験をそのままやるのではなく、自分で考え、実験により何が推測されるか、習っていることと人間社会とはどう関わっているのかを考える授業が多くありました。アメリカの教科書を見て、なんとなくそのことを思い出させられました。そういう授業をしてくれた先生たちに感謝。


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